四十肩・五十肩

四十肩・五十肩は、正式名称を「肩関節周囲炎」といいます。
炎症によって肩関節周辺に痛みが生じ、その後関節まわりの筋肉や靭帯が硬くなることで可動域に制限が出てしまいます。
四十肩・五十肩の原因は明確にはされていませんが、考えられる要因や症状についてみていきましょう。

●筋肉や関節の老化

加齢にともない、筋肉や関節などの組織も老化してきます。

肩まわりの筋肉が加齢や運動不足によって硬くなってしまったり、長年の使用で関節や腱がすり減って変性したりすることが重なり、四十肩・五十肩を引き起こす場合があります。

●血行不良

血液循環が悪くなると、筋肉や関節の柔軟性が低下しやすくなります。
そうすると、日常動作で肩周辺の組織を痛めて、炎症につながってしまう可能性があります。
血行不良が起こる原因には、加齢や運動不足、不良姿勢、冷えなどが挙げられます。

●ホルモンバランスの崩れ

中高年の方に多くみられることから、ホルモンバランスの崩れも四十肩・五十肩を起こす要因の1つに考えられます。
加齢やストレスなどでホルモンバランスが崩れてしまうと、関節周辺の筋肉の動きが悪くなりやすいです。

四十肩・五十肩は肩関節周辺に炎症が起こっている状態で、肩の痛みや動かしにくさが症状として現れます。
肩こりと勘違いされることも多いですが、肩こりでは動かしにくさは特に現れません。
また、肩こりは筋肉の緊張によって生じることから、炎症を起こす四十肩・五十肩とは原因も異なります。

●急性期の対処法

痛みが出始めてから1週間ほどは炎症が強いため、無理に動かさないようにします。
ここで無理に動かすと炎症が悪化して、痛みが強まる可能性があります。

患部が熱っぽくなっている場合には、湿布やアイスパックなどで冷やして炎症を抑制しましょう。

●慢性期の対処法

痛みは徐々にやわらぎますが、可動域が狭くなってくる時期です。
肩まわりの組織が固まってしまわないよう、無理のない程度に動かすことを意識していきましょう。
また、入浴やカイロなどで温めて血流を促進すると、痛みの緩和も期待できます。

●回復期の対処法

痛みや動かしにくさが緩和されてくる時期です。
ストレッチや体操などで積極的に肩を動かしていきましょう。

ここで動かさずにいると筋肉や関節が硬くなってしまい、再発してしまう可能性もあります。

●ストレッチや筋トレを行う

肩関節を動かすストレッチを日常的に行い、筋肉や関節の柔軟性を高めましょう。
ストレッチによって血行も改善してくるので、予防だけではなくリハビリにもおすすめです。
また、ウォーキングや水泳などの適度な運動は、肩まわりの筋肉を鍛えるのにおすすめです。

●食事の見直し

血行不良は四十肩・五十肩を起こす原因の1つに考えられます。
血流が悪くなる冷たい食べ物や飲み物、脂質の多い食事は避けるようにしましょう。
また血流を促進する食べ物には、生姜やシナモン、長ネギなどが挙げられます。

痛みの強い急性期は、ハイボルト療法で痛みの緩和をメインに行います。

痛みが落ち着いてきたら、手技・鍼灸で周囲の筋緊張を緩和し、超音波療法で深部に熱を入れて硬くなった関節を温めながら、肩関節の動きを少しずつ広げていくために関節可動域訓練を行っていきます。
また、姿勢が悪く肩甲骨まわりの筋緊張が強い方は、猫背矯正も並行して行います。

「四十肩・五十肩は放っておけば良くなる」と耳にされたことがあるかもしれません。
しかし痛みは自然に取れても、処置を間違えると腕が十分に上がらなくなって日常生活に不便を残してしまうため、強い痛みが取れたらなるべく早い時期から施術を始める方が早期回復が見込めます。

改善までには数か月単位で期間がかかりますが、頑張った分だけ少しずつですが良くなっていきますので、根気よく施術を続けることが大切です。
ご自宅でも行える、肩の動きをよくするための体操もあわせて説明させていただきます。