スポーツによるケガ

スポーツによるケガは「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」の2つに分けられます。
それぞれケガの種類や原因が異なるため、ケガへの対処法も異なってきます。
正しくケガへ対処するためにも、まずはスポーツ外傷とスポーツ障害の違いについて知っておきましょう。

●スポーツ外傷とは

突然強い外力が加わることで起こるケガをスポーツ外傷といいます。
代表的なスポーツ外傷として、打撲や創傷、骨折、脱臼、肉離れ、腱断裂などが挙げられます。

受傷時には気付かなかったものの、神経損傷や血管損傷などを起こしているような場合もあるので注意が必要です。
スポーツ外傷は不注意で起こることもあれば、突然の動きに筋肉や関節がついていけずにケガにつながるようなこともあります。

●スポーツ障害とは

スポーツによって繰り返し負荷が加わることで起こる損傷が、スポーツ障害です。
使い過ぎによる「オーバーユース」や間違ったフォームによる「ミスユース」、準備運動不足による「ディスユース」の3つが、スポーツ障害が起こるおもな原因に挙げられます。

代表的なスポーツ障害には次のものがあります。

・野球肩

大きく腕を振る投球動作を繰りかえすと、肩関節まわりの組織を損傷してしまうことがあります。
野球だけではなくソフトボールなどでも起こりやすい障害です。

・テニス肘

テニスのバックハンドやサーブ時のように手首を手のひら側に返す動きや、ラケットを強く握ることを繰りかえすと生じる障害です。
テニスだけではなく重い物を持ち上げる動作や、パソコンのキータッチでも起こる可能性があります。

・オスグッド

成長期に膝を使いすぎることで生じる障害です。
サッカーでボールを蹴る動作や、バスケットやバレーボールなどのジャンプをする動作を過度に繰り返していると発症しやすくなっています。

スポーツ外傷やスポーツ障害が起こるのは、大人のスポーツ選手に限りません。
子どものスポーツでも多く、身体が未発達であったり、技術不足だったりすることで起こると考えられます。

また、日常生活の中や運動不足解消のための運動でも生じることから、主婦や中高年の方でも、スポーツ外傷・スポーツ障害を起こすケースがあります。
ケガをした場合には、まず応急処置としてRICE処置を行うようにしましょう。

受傷した直後には、応急処置を行うことで症状の悪化を予防し、ケガを早期回復へと導きます。
応急処置は一般的に「RICE処置」と呼ばれる方法を行います。

●R（Rest：安静にする）

受傷した部分を動かさないよう、すぐに休むようにします。
安静にすることで、炎症の悪化を予防します。

●I（Icing：冷やす）

受傷した部分とその周辺をアイシングします。
冷やす際には氷水やアイスパック、保冷剤などを用いますが、直接当てるのではなくタオル越しに当てて冷やすようにしましょう。
冷やすことで炎症が抑制されるので、痛みの緩和も期待できます。

●C（Compression：圧迫する）

受傷した部分を包帯やテーピングを使って圧迫します。
圧迫には、患部が動かないように固定する役割と、炎症の広がりを抑制する役割があります。

●Ｅ（Elevation：拳上する）

受傷部位を心臓より上の位置になるように挙げましょう。
拳上することで腫れや内出血を抑制します。

●準備運動やストレッチは念入りにする

スポーツをする前には、ストレッチや準備運動でしっかり筋肉や関節をほぐしましょう。
身体の柔軟性が高まると、急な動きにも筋肉や関節が対応できるようになるためケガの予防につながります。

●フォームを見直す

間違ったフォームでスポーツを続けていると、余分な負荷がかかって筋肉や関節を部分的に痛めやすくなります。
そのため、正しいフォームで競技をするように見直すことが大切です。
またフォームが正されると、パフォーマンス能力の向上にもつながります。

●自分に必要なトレーニングをする

スポーツの競技によって使われる筋肉は異なります。
頻繁に使う筋肉をトレーニングで鍛えることで、ケガの予防につながります。

急性期は炎症が強く出ているため、まずはアイシングを行います。
その後、ハイボルト療法によって痛みを緩和し、マイクロカレントという微弱電流や超音波によって炎症や腫れを抑えて治癒の促進をします。

外傷では、筋肉や靭帯などに傷ができているため、治癒するまでに数週間かかることが多いです。
しかし、上記のような施術を行えば傷の回復が早まり、競技や仕事への早期復帰が期待できます。

また、症状に応じてテーピングや包帯固定を行い、患部の安静を保ちます。
再発予防のためのトレーニングや日常生活での身体の使い方、注意点などもアドバイスをさせていただきます。